赤飯とお父さん

 


「ご飯よー降りてらっしゃいー。ツカサ、カナ、降りてらっしゃいー!」母の何故か二回繰り返した「降りてらっしゃいー」に違和感を覚えながらリビングに向かうといつもより明らかに豪勢なご飯が並んでいて、母とメルはもうすっかり打ち解けている様子だった。「メルちゃんとっても可愛いし、お料理も上手いし、いい奥さんになれるわね。」「流石お母さん!デリカシーないね。」皮肉を込めて言ったつもりだった。「その時は、ツカサさんもらってくださいねっ!」この子もこの子でどこまでが本気で言っているのか解らない。


 僕は赤飯を頬張りながら、考え事をしていた。
 6年前、僕の父はテレポートマシンの組み立てという地球規模でのプロジェクトに参加していた。物知りで優しい父は僕のじまん自慢だった。そんな中、現場の状態もろくに知らない各国のお偉いさんが組み立てを更に急ぐようにと催促してきた。優し過ぎてしまった父は他の人が残業を断る中、毎日遅くまで頑張っていた。そんなことが半年続き父は過労死した。
 別に異星人が悪いわけではないのは解っていたが、ぶつけどこのないこの気持ちが、彼女に対する偏見を増大させていた。


 「ご馳走様。」僕は食器を片付けさっさと部屋に戻った。下では賑やかな声がする。布団がいつもより暖かく感じた。


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