寝起きと暴走


 朝起きると目の前には寝て居る少女が一人…理解しがたい状況だった。僕はそっと布団から出ようとしたが、抱き枕代わりの僕には逃れるすべが無かった。レモン色の長い髪が僕の鼻を突っついた。匂いの仕業か、寝起きだったからか、抱き着き返してしまった。とても柔らかい…そして暖かく、ピリピリするような…
「おはようございます?」キョトンとした顔でこっちを見ている。「あの…なぜここに?」勇気を持って聞いてみた。「寝るのなら、二階の部屋でと言われたので。」「空いている部屋があると思うんだけど?」「一人で寝るのって怖いじゃないですか。」とってつけたようなセリフにはにかんでしまった。「とりあえず起きたいのだけれども。」けれどもつかんだ手は緩まなかった。


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